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    脳科学

    1: しじみ ★ 2018/01/14(日) 12:49:07.16 ID:CAP_USER
    私たちは見慣れた街を歩いているとき、自分が今、
    最寄り駅からどの方向にどれくらい離れた位置にいるのかを簡単に思い浮かべることができます。
    このような空間認識には、脳で記憶をつかさどる海馬に存在する「場所細胞」と呼ばれる神経細胞が関わっています。
    場所細胞は、脳内で空間を表わす地図を構成する働きを担っています。

    しかしこれまで、場所細胞による自己の位置を認識する仕組みは分かっていましたが、
    自己以外のもの、例えば自分が見ている他者が空間上のどの位置にいるのかを認識する仕組みは解明されていませんでした。

    今回、理研の共同研究チームは、自己ラットと他者ラットの2匹に「他者観察課題」を学習させました。
    他者観察課題とは、自己ラットが他者ラットの動きを観察することで報酬の餌がもらえる場所を知ることができるという行動課題です(図A参照)。
    そして、このときの自己ラットの海馬における個々の神経細胞の活動を、超小型高密度電極を用いて記録しました。

    その結果、海馬において、自己の位置を認識する標準的な場所細胞に加え、
    他者の位置を認識する神経細胞が存在することを発見しました(図B参照)。
    特に、場所細胞の中に、自己の位置と他者の位置を同時に認識している細胞が多かったことから、
    これを「同時場所細胞」と名付けました。

    また、同時場所細胞の中には、他者の位置情報により強く反応する「他者場所細胞」や、
    自己であろうと他者であろうとその位置に存在すると活動する「共通場所細胞」などが存在することも発見しました。

    今後は、このような他者の空間情報を認識する機能が、
    私たちの社会性行動の能力とどのように関連しているのかが明らかになっていくと期待できます。

    図:他者認識課題と同時場所細胞
    http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/press/2018/20180112_1/digest.jpg

    報道発表資料
    http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180112_1/

    理化学研究所
    http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180112_1/digest/

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    1: しじみ ★ 2018/01/14(日) 13:35:54.86 ID:CAP_USER
    毎日発表される論文を眺めていても飽きないのは、重要な発見や新しい考えに出会うだけでなく、
    馬鹿げて研究の対象になどなりえないと思うようなことが結構真面目に研究され、
    論文になっていることを知り、ホッとすることができる点だ。

    (中略)

    今日紹介する英国・ノッチンガム大学からの論文もそんな研究の一つで、
    「また面白いタイトルで人を引きつけて」と読み始め、
    「あくびの研究は重要だ」と真面目に読み終わることになった。
    タイトルは「A neural basis for contagious yawning(あくびがうつる神経的基盤の一つ)」で、
    9月11日号のCurrent Biologyに掲載された。

    確かに誰かがあくびを始めると、あくびが広がるという現象は誰もが経験している。
    個人的には、前の日に飲みすぎたり、話に飽きたり、
    部屋の炭酸ガス濃度が上がるからではと単純に考えていたが、
    この現象が真面目に研究されてきたことが論文を読むとよくわかる。

    これまでの研究で最も有力な説は、ミラーニューロン仮説だ。

    ミラーニューロンは、サルがエサを取る行動時に活動する神経を調べていたイタリアの研究者が、
    サル自身がエサを取るときだけでなく、
    たまたまサルが実験に関わる研究をしていた研究者が
    同じエサを掴んだのを見たサルの脳でも同じように興奮する神経があることに気づいて発見された細胞だ。

    要するに、他の個体の行動を自分の行動に映すのに関わる神経細胞だ。
    この説では、あくびがうつるのは、ミラーニューロンが興奮して行動を真似ようとすることが原因になる。
    実際、あくびがうつるのは人間以外の動物でも見られる。

    しかし、MRIを用いた研究では、人間のミラーニューロンがあくびで興奮する証拠はなく、
    また個人差が大きいことから、ミラーニューロン仮説の可能性は低い。

    もう一つの仮説が、他人のあくびが私たちの本能を刺激して、
    相手を真似る行動を誘発するという仮説がある。実際、生後すぐの赤ちゃんでは、
    あくびも含めて他人の真似をする回数が多いが、3歳児をすぎるとただ身振りを真似る行動はなくなる。
    この本能の名残があくびがうつる現象として大人になっても残っているという考えだ。

    この研究では、あくびのうつりやすさが、
    あくびを見ることで起こる刺激に対する運動野の感受性を反映している可能性を調べている。
    この論文のタイトルはあくびがうつる神経基盤についての研究になっているが、
    実際にはあくびのうつりやすさの個人差についての研究といったほうがいい。

    実験では実験に参加したボランティアにテレビであくびのビデオを見せ、
    被検者にあくびがうつるか観察すると同時に、被検者が自覚的にあくびをしたいと感じる程度を刻々とレバー操作で報告させる。
    次に、同じ実験をあくびをこらえるように命令をしたあと繰り返す。
    最後にこの一連の実験を、運動野を頭の外から磁場で刺激して運動野の感受性を低下させた条件で繰り返し、
    運動野の感受性があくびのうつりやすさに関わるかを調べている。

    結果だが、
    1) まずあくびはビデオで見ても確かにうつる、
    2) あくびをするなと言われると、なんとか押し殺すことができるが、外から見ても抑えたあくびが出ているのがわかる。
        これをカウントすると、あくびをするなと命令してもあくびの数は減らない。なわち本能的な行動だ。
    3) あくびをするなと命令されると、自覚的には余計にあくびをしたくなる。
    4) 運動野を磁場で刺激すると、あくびが強く抑えられる。

    とまとめられる。

    あくびをするなと命令する実験から、あくびがうつるのは自分の意思ではどうにもならない、
    本能的な行動であること、そしてうつりやすさの個人差は、
    運動野の刺激感受性が大きく関わるという結論になる。

    最初は興味本位で読み始めたが、最後は結構シリアスな研究だということがわかった。
    特に、運動野の感受性の問題は、てんかんや自閉症の研究に取っても重要だ。
    あくびがうつるかどうか、様々な病気で見直してみれば、全く新しい課題が生まれるかもしれない。

    aasj
    http://aasj.jp/news/watch/7320

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